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【脳卒中 麻痺は局所ではない】姿勢制御 評価

脳卒中後の後遺症である麻痺は、手足が動かしづらい、指先が動かせない、内反がでてしまうなどの症状を伴います。


特に局所的に見える内反の症状であっても、足首~足部だけのリハビリで改善することは稀です。



症状の背景には、神経活動があり必ず姿勢や体全体からの影響を受けています。



当施設のリハビリでは、体全体⇄局所という双方からの視点、見方でリハビリを行っています。



今回の記事は、どういった視点で体の動きを見てリハビリしているのか紹介していきます。



〇姿勢と運動部位の関係性


手を伸ばした際に指が開かない、上手く握れないなどの症状の場合に真っ先に評価する部位は指先です。



しかし実際に指先が動かしづらい原因のすべてが、末梢部位である指にあるわけではありません。



物を掴むまでのリーチ動作を例に説明していきます。



一つ目は体幹の安定です。

脳卒中のリハビリでは姿勢を強調して記載されている記事や内容、動画などが多く存在します。



なぜそこまでリハビリで姿勢が重要なのか?



専門用語で記載すると先行随伴性姿勢制御( Anticipatory Postural Adjustment’s:APA’s)が非常に重要になります。



簡潔に説明すると、手足が動き出す前に先行して姿勢を調整する機能と、実際に動き始めてから姿勢を調整する機能がありますということです。



手足を動かそうとした際に、体幹が安定していない状態では手足の動きに体全体が引っ張られることになってしまうのでそれを安定させてくれる機能です。



特に先行性の姿勢制御で重要になるのが経験、記憶です。



手足が動く前に姿勢を調整するので、手足の動き方を予測して活動することになります。



細かく見ていくと自主リハビリにおいても1回目より2回目の方が、体幹や体の中枢部(肩や股関節)が安定します。



同じようにリハビリ中においても、セラピストが手足を動かす際は2回目の動きが予測的に活動しているのか評価することが大切です。



またセラピストが動かすというのは完全に他動運動であっても予測的に活動します。


2つ目は中枢部の安定です。



1で説明した体幹の安定に似てる部分はありますが、肩関節周囲の安定は特に運動中に重要です。



体幹は運動前ですが中枢部は運動の開始からより安定性を求められます。



また中枢部が安定することで、末梢である肘や指先などの活動を高めることができます。




肘の回内外が難しい場合は、より中部の関節である肩関節が安定する必要があり、手首であれば肘の安定が必要です。



この中枢部と末梢部の関係性で評価、リハビリしていく視点も必要です。



最後に3つ目の末梢について。




2の中枢部と対になってみなければいけない要素です。



指先の硬さを軽減したい、指先の動きを良くしたい



実際に起きている現象が指先であっても、アプローチする箇所は指先を含め、上肢~体幹など全身から局所を見ていく必要があります。



もちろん末梢部である指先の動きから中枢部の安定を高めることも可能です。



どちらからアプローチしていくかは、細かな症状や経過などで変化します。



今回は上肢で説明しましたが、歩行、下肢においても同様に見ていく必要があります。



特に歩行においては、内反やクロートゥーなどがありますが末梢部位だけでは解決でいないことがあります。



足全体の動かし方や姿勢から足の筋肉が引っ張られる、つっぱることから内反などが生じている場合が多いからです。



このように症状がある部位だけではなく、姿勢や中枢部と末梢など様々な視点からアプローチしていくことが必要になります。



〇全体と局所へのアプローチ


リハビリを行う際にどういった部位を見ているのかを、全体と局所に分けて説明していきたいと思いますが実際のリハビリでは両者を総合的に、相互的に評価しアプローチしています。



まずは全体について。



全体を評価するということは、姿勢や体の動かし方(パターン)だけではなく、感覚や視覚、高次脳機能、麻痺側、非麻痺側などを含めて表現しています。



実際に手足が動かせる、動いているのは筋肉が活動した結果ですが、筋肉が活動するためには必ず脳が運動をプログラムすることが必要になります。




前半で記載した姿勢と運動の関係性と同じく、全体と局所も相互的に関係しています。


そして「全体と局所」、「姿勢と運動」の2つも総合的に、相互的に考える必要があります。



次に局所についてです。



当たり前ですがリハビリでは直接刺激できるのは、皮膚だけです。



だからこそ筋膜や筋肉、靭帯、骨などへのアプローチは皮膚を介して刺激することになるので、セラピストの技術、経験に依存します。



依存とは、どの組織に刺激をするのか、動かすのかなどは徒手療法においてはセラピストの手で感じ取り、適切な刺激量、方向、タイミングで調整するためです。



特に筋肉を適切に活動させるためには、関節、骨の位置が重要です。


図のように関節には、靭帯という骨が動き過ぎない内容に制動している組織があります。



しかし筋肉の短縮やねじれなどにより、関節が少しずつ変位していくことで本来の筋肉の作用とは異なる活動になります。



その結果、ご病気前の手足の動き方やイメージと異なるため運動プログラムがされづらくなる可能性があるので靭帯や関節の位置などの調整が必要です。



その他にも、「筋肉と腱」、「骨と皮膚」などの関係を見ていきます。



特に筋肉と腱の関係性は、筋腹を活動させるためには非常に重要な部分になるのでまた別の記事で投稿していきます。



〇さいごに


脳卒中における麻痺では、神経活動による全身の評価とアプローチ、そして経過とともに変化してしまう局所的な骨や筋肉へのアプローチが大切です。



この双方からの視点で、目標にしている動作などと照らし合わせてリハビリを進めていくことが重要です。



最後までお読みいただきありがとうございました。




引き続きよろしくお願いいたします。


佐藤