トータルリハビリテーション
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豆知識
脳卒中におけるリハビリで、座位姿勢というのは立つことや歩く、ベッドに寝ていくなどの中間的な姿勢でありながら日常的に過ごす姿勢でも最も多くなります。
座位の姿勢が傾いてしまうことは、体の感覚や筋活動など様々な視点から介入していくことが必要です。
そこで座位姿勢が安定しない、療法士の方に「傾いています」や「真っすぐ座れますか?」など指摘されることが多いという方への内容になります。
今回の記事では、座位姿勢で傾いてしまう原因を3つ紹介していきます。
①麻痺側股関節の低緊張
②麻痺側の肩や肩周辺の重さ
③麻痺側の肋骨(あばら)の位置
それでは順番に解説と自主リハビリまで紹介していきます。
①麻痺側股関節の低緊張
座位姿勢で麻痺側へ傾いてしまう原因は、麻痺側股関節の低緊張になります。
低緊張というのは、筋肉の張りが少なく筋肉の活動が低くなっている状態で、関節自体も不安定になっています。動いたり、支えたりする中では、この筋肉の張りである筋緊張が非常に重要です。
この筋緊張が低い状態を確認するには、直接触れる方はお尻の周りを触ってみると、非麻痺側に比べて筋肉の張りが少なく、筋肉が柔らかい状態になっています。
この筋肉の柔らかさは、体が柔らかい方の筋肉とは違って、少しだらんと力が抜けすぎている様な状態です。
その他にも、座っている姿勢で、股関節、足の付け根がグラグラしたり、外へ開いてしまうなどの症状も低緊張から生じていることが多くなります。
この股関節周りの低緊張があることで、体を支える、安定させることが難しく、麻痺側へ特に骨盤が引けたような姿勢になり、麻痺側の手を伸ばしたり、立ち上がろうとしても、重心移動が制限され動きづらさや、下肢の支えなどに影響されてしまいます。
リハビリでは、麻痺側の股関節の緊張を整えて、骨盤の動きを促しながらしっかりと麻痺側へも荷重できることが、上肢や立ち上がり動作などの活動へも繋がっていきます。
そこで股関節周りの筋緊張を調整するには、座骨というお尻の骨に体重が乗っているのか、もしくは坐骨を座位の姿勢で感じることが出来るのかが大切になってきます。
座骨を感じる練習はこちらの動画を参考にしてください
座位姿勢では、座骨に体重を乗せることが基本であり体の安定性を高めるきっかけになります。
②麻痺側の肩や肩周辺の重さ
次に肩や肩周辺(肩甲帯)の重さになります。
先ほどの股関節の低緊張に加え、肩回りの筋肉にも低緊張が生じる場合があり、亜脱臼や腕の重さなどの症状へも繋がりますが座位姿勢への影響も大きくなります。
腕、上肢は、肩甲骨や胸からの筋肉の一定の筋緊張で位置が保たれていますが、これらの筋肉に低緊張が見られると上肢を支えるだけの筋活動がなくなり、腕が下方向に垂れ下がったような状態になります。
この状態では体が麻痺側へ傾いてしまうので、骨盤を麻痺側に傾けて腕から肩回りの重さを支持しようという活動が見られやすくなります。
これが結果として麻痺側への体の傾きを強めている原因です。
その他にも、肩回りの低緊張が見られる場合には、肘の屈曲でそれ以上に肩が下がらないようにする活動などもありますので、肘の屈曲でも肘を伸ばすことだけではなく肩周囲への介入を優先する必要なども考慮してリハビリを進めます。
そして座位姿勢に上肢や肩甲帯の重さが影響しているかを判断するには、麻痺側の腕を持っていただくか、腕全体をテーブルに乗せるなどした状態で骨盤の動きやすさが変化するかを感じてみてください。
腕を支持しない座位姿勢よりも骨盤が動きやすい場合には、上肢全体の重さを軽減しながら、まずは骨盤を動かす、そして麻痺側股関節の上にしっかりと肩甲骨が乗る様な姿勢、胸から股関節が一直線になることが非常に大切になります。
この姿勢に近づけていくことで、骨盤が安定して肩甲骨の支えとなる土台となって肩回りの低緊張を改善していくことができます。
このような症状にはこちらの自主リハビリがおすすめです。
こちらの動画では、腕の重さを軽減しながらお腹周りの活動を高めることで、結果的に肩周辺の安定にもつながる内容です。
③麻痺側の肋骨(あばら)の位置
②でお伝えした肩回りの低緊張に加えて、麻痺側の肋骨が下がってしまっている事が挙げられます。
肋骨は左右12本ずつありますが、上部、中部、下部と大きく3つのパートに分かれており、それぞれ機能も異なりますが、上部の肋骨で鎖骨あたりの高さの肋骨が重要です。
座位や立位など左右への重心移動で重要なのは、体の平衡を保つことでこの鎖骨周囲の高さを保ちつつ左右に動けるかを評価、リハビリしていきます。
特に麻痺側へ重心を乗せた際に、この麻痺側の胸のあたりが下がってきてしまうと、重心自体は麻痺側へ乗りますが、体全体は傾いてしまいます。
これは麻痺側の胸あたりに手を当てて重心移動することで下がってきているのかを手で確認していただくか、鏡を見ながら確認してみてください。
先ほどの肩回りの低緊張と異なるのが、肋骨が下がってしまう場合には、上肢の重さを軽減しても骨盤の動きに変化を感じられない、感じづらいということです。
特にこの肋骨は姿勢の変化や姿勢コントロールという視点で見ると体幹の一部になるので、非常に姿勢と密接な関係になっています。
根本的な体幹の姿勢コントロールを高めることで、上肢や下肢の動きを促すこともできますので、こちらの動画を参考に行ってみてください。
こちらの動画では、肋骨の動きを促すことで上肢の活動に繋げる要素も紹介していますのでぜひ行ってみてください。
〇さいごに
今回は脳卒中による座位姿勢の不安定や改善するポイントなどを紹介しました。
姿勢と動きは常に関連しているので、動かすだけではなく動きの安定や滑らかさなどを改善するために姿勢から介入することも大切です。
最後までお読みいただきありがとうございました。
佐藤