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【脳卒中後の痺れの原因】薬やストレッチが効かない

脳卒中を発症すると、運動麻痺や高次脳機能障害などさまざまな症状がありますが、その中でも変化しづらいのが痺れです。



日内変動や気候などでも症状が変化する痺れの原因は、人それぞれ異なりますが薬が効かない、筋肉を緩めてもあまり変化しない場合も少なくありません。




そこで脳卒中後の痺れに関して、実際に当施設で実践して効果があった方法を2つ紹介していきたいと思います。


○体の位置や動きなどの感覚の統合


1つ目の原因として考えられるのは、感覚のズレ、誤差になります。



感覚にはいくつか種類があり、体性感覚、深部感覚、固有感覚などの分類されます。



・体性感覚:腕などの表面に触れた際の感覚
・深部感覚:手足をなどを動かした際に、関節が動いているなどの関節部分を感じるような感覚
・固有感覚:ここでの固有感覚は筋肉由来のもので、手足などを動かした際に筋肉が活動している、力が入っているなどの感覚



痺れを感じている方の多くが、これらの感覚にズレや感じづらい部位、もしくはどこかの部位が敏感に感じ過ぎてしまっているなどの症状が混在しています。




痺れがある患者さんの声

「自分の体なんだけどふわふわしている様な、明確に腕がどこにあるのか分からない」
「触られている、動いて感覚が分からないのに、痺れがあるから触られていることに気付ける」




こういった事をまとめて考えていくと、ご自身の身体部位を正確に感じることは非常に重要なポイントになります。




この身体の位置を正確に感じるというのは、腕であれば腕全体の大まかな位置、体の横にあるのか、少し開いているのか、などの位置であったり、肩や肘、手首の関節の位置などが含まれます。



例えば関節から得られる肘という位置の感覚が本来の位置で正確に感じれていても、皮膚からの感覚情報が肘より先、もしくは手前に感じているとこれらの感覚を脳で統合した際には、肘の位置が不明瞭になりこれが感覚のズレ、誤差となって痺れを引き起こしている可能性があります。




これに加えて筋肉からの情報もさらに統合されるので、より複雑、微妙に感覚のズレが生じてしまうことも考えられます。




実際のリハビリでは、この感覚のズレや誤差がどこに生じているのか、どの部位に強弱があるのかなどを評価、把握しながら皮膚や関節、筋肉からの感覚情報の位置を感じやすくしていくことが必要になります。




この要素をご自宅でも出来る内容にすると、手足をさすることがとても有効的になります。




さする際には、重要な2つのポイントがあります。



➀必ず1方向へさする


腕であれば肩から肘、手首、指先のように一方向にさすっていきますが、この理由としては一部分だけを上下であったり左右にさすってしまうと、腕全体の位置や場所が不明覚になりさすっているその部位だけが感覚として強調されてしまいます。



一部分だけが強調されてしまうと、先ほどの感覚のズレ、誤差が認識されづらい可能性があるので必ず1方向に腕の前側であれば前、外側であれば外側のようにさすっていただくことが効果的になります。




これは麻痺側の痺れがある部位の感覚を調整するために、非麻痺側のご自身の手を使うことで、非麻痺側の感覚との統合にも繋がっていきます。




②さする部位は、しびれていない部位からスタート


例えば、肘から先の痺れが強い方は二の腕や肩からスタートしていただく、麻痺側全体の痺れが強い方は、非麻痺側の胸のあたりからスタートして指先までさすってください。



これは痺れが無い部位とある部位の感覚の繋り、身体部位の繋がりを強調することができます。



実際にこの練習を行って手足の位置などが分かりやすくなり、結果的に痺れが軽減した方もいらっしゃいますのでぜひ実践してみてください。



○意識のコントロール


2つ目の原因として考えられるのが、意識についてです。



痺れを含む様々な感覚というのは、意識を向けた身体部位や物などから強く感覚を感じます。




しびれが有る方の中にも、何かに集中していると痺れが感じづらいという事もあって、痺れではなく、他の課題であったり刺激に対して意識を向けることは非常に重要なポイントになります。




これだけでは、何かに集中している時だけ痺れを感じないだけで、痺れ自体がなくなっているわけではないと感じるかもしれませんが痛みや痺れというのは、人の体にとって侵害刺激、嫌な感覚であることは間違いないので脳機能も優先して感じやすくしているという側面も考えられます。




優先して感じやすくしていること、意識を向けた部位からは感覚が強く感じること、これらをまとめると意識を向ければ向けるほど痺れが強くなるということになります。




しかし理屈としてはこういった背景がありますが、それでも痺れていたらそこへ意識がどうしても向きやすくなってしまう、これ自体は頭で理解し意識しないというのはもちろん難しいですが、ここでお伝えしたいのは、麻痺側、痺れを感じる身体部位以外へ意識を向けることの重要性です。




しびれがある、痛みを感じると、その部位への意識だけではなく、体の動きなども偏りが生じてしることが多くなります。




そこで必要な要素になるのが両手動作です。




この両手動作というのも最初から両手を使うわけではなく、意識が向きづらいくなっている非麻痺側を使ってから両手動作へ移行していくことが大切です。




実際にリハビリ場面で行う際には、例えば最初は非麻痺側の手でキャッチボールします。




非麻痺側の手で行うことで、非麻痺側の手に意識を向ける、そしてボールを投げるとボールという物へ意識を向けられるという2つの要素があります。




この段階で日常的に、意識が向きづらい非麻痺側や物への意識をコントロールすることで体全体など痺れ以外の部位へ意識を向けることができます。




これは一時的にそうなるという事ではなく、痺れ以外に意識を向けることを練習することで、体全体や空間などの把握が広がり、結果として痺れへの集中的な意識を軽減することに繋がっていきます。




非麻痺側の手でキャッチボールした後に、最終的に両手でボールを投げますが、両手動作の中で左右の腕の位置や長さなどの意識以外の感覚を調整することができます。




非麻痺側の手で行ってから両手動作をしていくことで、意識の向け方を変え、さらに腕自体の感覚を非麻痺側の感覚も利用しながら調整していくこができます。




この意識というのは目に見えるものではないので、難しいですが日常的に非麻痺側や物、課題などに意識を無けることを練習することは非常に大切です。




麻痺側、痺れがある部位が中心にならずに体全体、空間全体へ意識を向けることを行ってみてください。



動画でもう一度確認したい方はこちら

痺れは不明瞭な要素が多い症状ですが、日内変動や動作など様々な要因から評価していくことが重要です。



○さいごに


今回は痺れについて感覚や意識などをお伝えしましたが、その他にも筋緊張や姿勢、力のコントロールなどが影響している可能性もあります。



痺れの原因となる要素は様々で必ずこれが原因だと断言しづらい症状です。




今回お伝えした内容も、痺れの原因の一部ですが一度試していただきながら変化を確認してみてください。



最後までお読みいただきありがとうございました。



佐藤