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豆知識

【脳卒中 退院後6ヶ月以降の改善は】筋緊張 姿勢

脳卒中の神経的な回復はおおよそ6ヶ月と言われてますが、体の動きや麻痺が改善しないということではありません。



退院後の方や発症から数か月、数年経過した方でも適切なリハビリを受けることで機能改善は可能です。



今回の記事では当施設でのリハビリ内容をご紹介します。



まず大前提に、リハビリ中にマッサージやストレッチ、無理な動きなどは行いません(自主リハビリではマッサージ、ストレッチを行ってもらうこともあります)。



リハビリは徒手療法という手で筋肉を触り、位置や活動を細かく捉えながら進めていきます。



それでは、施術の4つのポイントと実際に行っている内容を動画も含めて細かく説明していきます。


1.運動について


手を挙げる、指先を動かす、立つ、歩くなどの運動では、必ず脳からの指令があり、リハビリではこの指令が正しい「内容」、「タイミング」、「収縮様式」で出力されることを促します。


※動画では腕を動かす「目標」を決めることで、大脳基底核という脳部位を活性化しています。

また視覚~記憶から腕の動きを促すことで正確性、再現性のある動きへ繋げていきます。


実際に体が動くまでには

①運動を企画、プログラムする

②指令が脳から筋肉へ届く

③手足が動く
という過程があります。


①運動を企画、プログラムして正しい指令を送るためには、筋肉、筋膜、関節、靭帯などの「組織」と視覚、記憶などの「高次脳機能」や「感覚」なども含めリハビリしていきます。


本来この運動をプログラムする際には必ず「目的」があります。歩くことで例えると、「トイレに行く」、「電車に乗る」などで腕を伸ばすことで考えれば、「物を取る」、「ドアを開ける」などになります。

最終的には、この目的に沿った課題を練習する必要があります。


2.筋緊張


筋緊張とは筋肉の張りや硬さを表現する言葉で、リハビリではこの筋緊張が高い(亢進)、低い(低下)を評価しながら進めていきます。


筋緊張も脳が管理しており、動こうとすれば高まり、リラックスすれば低くコントロールされています。
このコントロールできるという事が筋緊張の一番大切な部分です。


筋緊張は高すぎても、低すぎても動きづらくなります。

※運動の前段階の筋緊張と収縮様式を調整しています。

この筋緊張にも種類があり、「安静時」、「姿勢」、「運動時」の3つに分かれます。


そして「運動時」の筋緊張をさらに3つに分けて「運動開始前」、「運動中」、「運動後」となります。



まずは安静時筋緊張です。


寝ている状態で体の硬さがどうなっているのかを評価します。


リラックスできる姿勢でどれだけ筋緊張を抑えられるか(必要最低限)。



次に姿勢筋緊張は、座位や立位など姿勢を保つための筋緊張が適切かどうかです。

座っている姿勢で極端に片側だけ緊張を高めていないか、逆に低緊張で不安定な部位はないのかなどです。



最後に運動時筋緊張です。


運動の前、運動中、後に遂行している運動に適した(高すぎもなく低すぎもしない)筋緊張であるか。


腕が動く前に、肩回りがこわばっていないか、動いてる最中に筋緊張の不均等がないか、運動後には筋緊張がもとに戻っているかなどをみます。
→この筋緊張コントロールが適切に行えることで、何度でも繰り返して動作ができるようになります。

3.姿勢コントロール


生活の中での姿勢は、寝ている姿勢(仰向け、横向き、うつ伏せ)、座位、立位がほとんどで、床座位などもあります。


この姿勢コントロールにおいての優先順位は倒れない、バランスを保つということです。



倒れないために視覚や筋肉、感覚などを用いてバランスを保っています。



そして動く際にも「倒れないように」動くことが重要で、体が常に安定していることでよりスムーズな動きが可能になります。


運動と姿勢は常に表裏一体になっています。


4.体軸・体軸内回旋


体軸・体軸内回旋の動きを促す最大の理由は「効率的な動き」のためです。



代償動作を軽減し、動きに必要最低限な活動だけで動かせるためには重要な内容になります。



また「スムーズに動きたい」へ直結するのは、体軸内回旋、回旋の動きです。



曲げ伸ばしの動きでは不十分で、いかに動きの中に回旋動作を含めることができるかがポイントです。


腕から体軸内回旋


※腕からの寝返りで左右腕の動きが体軸内で動かせるように促します。

足から体軸内回旋


※歩行において足が体軸内で動かせるように、足~骨盤~背骨の動きを連動させていきます。


体軸内以外での動きは、過剰収縮や代償動作となり体の硬さとして現れます。



また姿勢の歪みや体の左右差といった姿勢にも影響を与えてしまいます。



脳卒中を発症されリハビリを進めていく中で、「麻痺側への寝返り」を練習しない(肩の痛みなどで)方もいらっしゃるかと思います。



しかし麻痺側への寝返りは、動作自体が完全にできる、できないに関わらず行うことが重要です。



寝返りには体や空間の認識、歩行の準備など様々なリハビリ場面で行われます。

(※注:痛い、怖いなどある方は必ず療法士さんと行ってください。)

〇さいごに


以上が4つのポイントになります。そしてこの4つの基盤にあるものが脳神経科学です。


触り方、動かし方、刺激の量や質など、脳科学的根拠をもとに行っています。


今回も最後までお読みいただきありがとうございました。


記事の内容が参考になれば幸いです。


今後も継続して投稿していきますので、よろしくお願いいたします。 

佐藤