ご予約お問い合わせ

トータルリハビリテーション

トリアロゴ

お電話での予約・お問い合わせ
TEL.047-711-3007

ニュース&ブログ

豆知識

【脳卒中 亜脱臼の原因】肩甲骨 ローテーターカフ

脳卒中の後遺症による亜脱臼は、およそ7~8割程度の方に見られます。



発症からの時期や軽減するタイミングなどは異なりますが、今回は回復期~退院後の原因について紹介していきたいと思います。



亜脱臼が長い期間続くことで、肩関節はもちろん肘や指先などの動きにも影響します。



亜脱臼がなかなか治らない、三角筋やスリングを着けているが外したいという方はぜひ参考にしてみてください。



亜脱臼を改善させる自主リハビリはこちら

亜脱臼の改善には、肩甲骨の可動性とローテーターカフを活動させるための土台が必要です。

〇亜脱臼とは

正常な肩関節は上腕骨が肩甲骨のくぼみに、はまっている状態で様々な方向に動ける分だけのわずかな隙間があります。

肩関節
肩甲骨

亜脱臼とはこの隙間がズレている、あるいは隙間が少し広がっている状態で脳卒中後の亜脱臼では、指2本分前後の関節の開きが見られることがあります。


関節面が完全に外れて関節として機能していない状態は脱臼です。


〇亜脱臼の原因


原因の多くは姿勢と筋緊張に分けられますが両者の原因が見られる場合もあります。


1.姿勢

亜脱臼と姿勢の関係は、肩甲骨の位置、動きにあります。


体幹の屈曲、伸展や左右への重心移動に伴い肩甲骨が開いたり閉じたり、傾きが変わったりなど様々な方向に肋骨に沿って動いています。


肩甲骨は肋骨に貼り付いたような構造をしていることで、体幹の位置や姿勢に影響を受けやすくなっていますが、本来はこの姿勢に伴って肩甲骨が動くことで肩周辺のバランスを保っています。


体幹の屈曲では挙上や上方回旋、体の傾きでは外転や内転などの動きが強調されやすいことになります。


亜脱臼の原因になりやすいものは特に挙上、上方回旋(外転)が強く見られている場合で、肩甲骨は上に動きますが、腕の重さで腕自体は下がろうとします。



この肩甲骨と腕の動きが逆方向になっている関係性が、亜脱臼の原因になります。



この原因に合わせて考えなければいけないのがローテーターカフです。


2.ローテーターカフ


ローテーターカフ(回旋筋腱板)は肩関節を安定させるための4つの筋肉の総称です。


ローテーターカフは肩関節の深部筋で関節の安定性を高めています。



しかし麻痺の影響でこのローテーターカフが運動時に強く働きすぎてしまう場合、もしくはほとんど活動しないことがあります。



これは肩関節を動かす際の主動作筋である三角筋の活動が低いことで生じます。



姿勢とローテーターカフ、この2つの視点から評価しリハビリしていくことが亜脱臼の改善には有効になります。


〇亜脱臼のリハビリ


1.姿勢

亜脱臼している場合、肩甲骨は挙上、上方回旋しているので下制と下方回旋(内転)へ動かします。



しかし肩甲骨だけでは動かないので、必ず体幹の伸展、特に胸椎の伸展活動を高めてください。



体幹が伸展することで、肩甲骨は下制、下方回旋しやすくなるので体幹の動きに合わせて肩甲骨を誘導していきます。



これで体幹と肩甲骨の連動を高めつつ、さらに寝返り動作などで肩甲骨~上肢の活動、繋がりを強調していきます。


2.ローテーターカフ

ローテーターカフを安定として活動させるには、腕の重さを感じれる、感じた際に自動的に筋活動が起こせることがポイントです。



安定として活動したあとに、主動作筋である三角筋の活動を高める練習でさらにローテーターカフとしての運動時の肩の安定性を向上させます。



腕の重さが分かるというのは、最終的には無意識であることが大切です。



腕を持つ、動かした際に腕を支えようとするような筋出力がされているか評価しながら進めます。



腕を支えるような筋出力が感じづらい場合は、少し動かしながら腕の重さを感じてもらい腕の存在を無意識的に脳へ伝えます。



腕を支える活動が高まったら三角筋を把持して、固有感覚を強調しながら動かしていきます。



最終的には他動運動から自動運動へ切り替えながら、可能な限りご本人が筋出力を発揮できるように調整していくことが重要です。


〇亜脱臼の自主リハビリ


1.重心移動

姿勢に対する自主リハビリのポイントは左右への重心移動です。


特に麻痺側へ重心を乗せた際に、肩全体が下がらないように注意してください。



まずは肩が下がらない範囲で麻痺側へ重心移動し、徐々に幅を広げてください。



また体幹は可能な限り伸ばしておくと、より肩甲骨の動きと肩関節周辺の筋肉の活動が高まります。



肩甲骨、肩甲帯の自主リハビリはこちらがおすすめ





2.寝返り

寝返りは非麻痺側、麻痺側の順番で行います。



特に麻痺側への寝返りが慣れていない場合は、痛みが出ない狭い範囲から行います。



寝返りでのポイントは腕に対して体幹が近づくイメージで行ってください。



また支持側(右への寝返りであれば右体幹、右肩甲骨)の肩甲骨の動きを感じられると、さらに肩関節の安定を高めることができます。


3.肩の出力向上

座位で前方のテーブルに肘を伸ばして手を乗せます。



肘を伸ばすことが難しい場合は肘をサポートしながら、その状態で手に少しずつ体重をかけていきましょう。



手の位置を変えることで肩関節の角度も変化するので様々な位置で体重をかけてください。



体重がかかる瞬間に力が入ることで、腕の動き始めからしっかりと力が入る練習になります。



〇さいごに


最後までお読みいただきありがとうございました。


亜脱臼はスリングなどで保護する場合もありますが、そうすると肘や指先などを動かす機会も減ってしまいます。


腕全体の改善のためにもスリングを外せるようにリハビリ、自主リハビリしてみてください。


引き続き投稿していきます。

佐藤