トータルリハビリテーション
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豆知識
脳卒中後の感覚障害には、触れた感覚や手足を動かしている感覚障害の他にも麻痺側の手足の長さが短い、または長く感じるという場合があります。
感覚は患者様、ご利用者様の主観的な要素で外見上では判断することが難しいです。
しかし筋出力の仕方や筋肉の状態などである程度、予測することは出来るので経験を踏まえてお話していきます。
手足を動かす際は手足の長さは無意識に脳が判断し動かしています。
この手足の長さの感覚、認識が非麻痺側と異なる場合にはどのような症状になるのか。
その原因と運動への影響などを紹介していきます。
体の長さの認識を高める自主リハビリはこちら
体の長さを正しく認識、知覚できることで力の強弱や運動のタイミングなどが改善されやすくなります。
〇手足の長さに左右差を感じる原因
身体イメージの研究などでは非麻痺側の手足が短く感じる方が多いというものもありますが、臨床上では麻痺側の手足が非麻痺側に比べて、短く感じる方が多いです。
麻痺側を短く感じている方の多くが、筋肉のこわばりを伴っています。
また反対に麻痺側の手足が長く感じる方では、つっぱりを伴っている場合が多いです。
この筋肉のこわばりやつっぱりが、手足の長さへ影響していることが考えられます。
〇こわばりとつっぱりが手足の長さに与える影響とは
まずはこわばりについて。
筋肉のこわばりは主に手足を引き込む筋活動、あるいは同時収縮が見られる場合は多いです。
引き込む筋活動において上肢では、腕が上がらないや肘が伸ばしづらいなどの症状になります。
下肢は立ち上がりなどで、麻痺側の足部が浮きそうになる、仰向けになった際に足(股関節や膝関節)が伸びないなどの症状が当てはまります。
つづいて同時収縮です。
関節運動を滑らかにコントロールするためには、関節を曲げ伸ばしする筋肉の活動が切り替わることが大切です。
しかし曲げ伸ばしする筋肉の両者が活動してしまうのが同時収縮です。
同時収縮は静的な筋活動で、関節運動を起こすことが難しくなります。
この2つの症状がこわばりとなり、手足を短く感じさせてしまう原因になります。
次につっぱりについて。
つっぱりの症状がある場合の多くは、上肢、下肢ともに関節が伸展位方向へ出力していています。
この出力ということがポイントで実際に関節が伸展方向に動いている場合もありますが、一部の関節は曲がっている状態で伸展位へ出力していることもあります。
こわばり、つっぱりともに関節の角度ではなく、出力方向がどちらに向いているかで手足の長さの感じ方が変わります。
関節を曲げる、伸ばす、どちらにも力を入れない。
この3つがコントロールされることで、手足の長さを動かしながら無意識に脳が判断し感じています。
しかし曲げる、伸ばすどちらかの力が強く持続的に出力されることで手足の長さが正確に捉えられずに麻痺側の腕が長い、下肢が短く感じてしまうことがあります。
〇感じる長さが異なると運動にも影響する
左右の上下肢で長さが違うと感じているという事は、その長さをコントロールする筋出力を脳がプログラムすることになります。
例として上肢が短く感じている場合で説明していきます。
写真のように実際の上肢の長さより、短く感じている場合、短く感じている腕を支えるだけの筋出力が脳でプログラムされます。
その結果、実際の上肢は感覚よりも長いので支える力が不足して腕が挙がりづらくなります。
反対に長く感じている場合は、出力が強くなりすぎる方が多いです。
上下肢の長さや重さの感覚情報は、運動をプログラムする段階で予測的に判断しているので特に動き初めに出力不足、出力過多が目立ちます。
〇リハビリでの介入方法
手足の長さに左右差を感じている患者様への介入では
・屈曲・伸展の切り替え
・筋緊張の高~低いへのコントロールを促すことで改善することが多いです。
各関節をコントロールしている一つひとつの筋肉の求心性と遠心性を切り替えつつ
上下肢全体の出力方向を定めていきます。
また両手動作や非麻痺側で麻痺側をさするなどの左右での感覚の共有も有効なことが多いので自主リハビリなどで実施していただくことがあります。
〇さいごに
手足の長さをどう感じているかは、感覚的な問題で外見上ではわかりません。
しかし長さが異なる症状はあります。
患者様、ご利用者様の感覚を左右で合わせることは動きの改善へ繋がることが多いので、こわばりやつっぱりが強い方への介入では確認が必要です。
最後までお読みいただきありがとうございました。
引き続き投稿していきますのでよろしくお願いいたします。
佐藤