トータルリハビリテーション
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豆知識
脳卒中を発症されると運動機能としては、上下肢の麻痺や失調などの動かしづらさが見られます。
その背景には体幹の不安定性、低緊張などが影響していることが多いです。
体幹の筋肉を活動させるためには、腹圧がポイントになるので紹介していきます。
腹圧を高める自主リハビリはこちら
体幹機能は腹部だけの活動ではなく、全身活動の一部です。
腹部だけではなく、肩甲帯、骨盤や姿勢などを考慮していくことが大切になります。
〇腹圧が体幹の伸展に重要
腹圧とは、腹部内部にかかる圧で腹部の安定には非常に重要な機能です。
イメージはお腹の圧が風船だとすると、空気がたくさん入っている場合が腹圧がかかっている状態です。
腹圧が高い=体の重さなどを支持できます。
反対に空気が少ない風船では、体の重さを支持できずに傾いたりしてしまいます。
このように腹圧を高めることは重要になりますが、腹圧を高め安定させるためのポイントは以下です。
・横隔膜の位置と傾き
・腹部周囲の筋活動(インナーマッスル)
・肩甲帯の重さの感知
・下肢、骨盤の支持
この4つの条件が腹圧をコントロールしています。
順番に解説していきたいと思います。
〇横隔膜の位置と傾き
横隔膜は姿勢や呼吸、発声など多くの機能があり腹圧の安定に最も重要な筋肉です。
呼吸の際はこのドーム状の形が上下に動くことで肺の膨らみに適応しています。
腰椎や胸骨から腱中心という部位に付着していますが、胸郭/肋骨の傾きや脊柱の屈曲(猫背の様な姿勢)などの影響を大きく受けます。
姿勢の左右差が見られる場合などは、横隔膜も同様に傾いてしまうことで先ほどのドーム状の形状が崩れ呼吸や姿勢に不安定性が見られます。
上半身や肩周囲が不安定と感じる場合は、横隔膜の形状が崩れていることで腹圧が低下していることが1つの原因です。
〇腹部周囲の筋活動
インナーマッスルは4つの筋肉から構成されており、前後・左右・上下を囲い腹圧を高めています。
・横隔膜
・腹横筋
・多裂筋
・骨盤底筋
この4つの筋活動により、腹部を全方向から囲うように絞めることで腹圧を調整しています。
この4つの筋肉は、姿勢や刺激に対して活動が変化するため筋力を高めたことで活動するということではありません。
特に横隔膜は意識的にコントロールできない筋肉になるので呼吸や姿勢から機能を高めることが重要です。
〇肩甲帯の重さの感知
左右の肩甲帯の重さをそれぞれ同側の腹部に乗せる、感知できることで腹圧が高まり体幹の垂直方向への活動が可能になります。
胸郭・胸椎の伸展が難しく猫背の様な姿勢になりやすい、肩の高さに左右差がある場合は肩甲帯の重さを垂直に支持できていないことが原因です。
その様な場合の多くは、非麻痺側への荷重と固定で姿勢を安定させていることがあり麻痺側への荷重をより難しくする原因にもなります。
〇下肢、骨盤の支持
下肢や骨盤の支持は立位や座位などのどこで支持しているかで変化しますが、腹圧を高め体幹を伸展させるためには下方向からの腹部への作用も必要です。
立位であれば下肢は下方向に出力し続けるために、腹部の圧との関係が重要になります。
下肢が下方向に出力する瞬間は、一度腹部を下から刺激することで腹部は下方向への腹圧も高まります。
この作用が下肢の出力の安定、下腹部の安定に繋がります。
〇4つの条件と腹圧
腹圧を高めるための4つの条件を紹介しました。
腹圧を高め体幹を垂直方向へ伸展させるためには、腹部の筋肉だけをトレーニングするのではなく合わせて肩甲帯や下肢の支持などを腹部の活動に連動させることが重要になります。
腹部・体幹を安定させ手足の動きに繋げるためには、最低限の筋力と筋緊張が必要です。
筋緊張は筋力トレーニングをしても変化するわけではなく、脳がそれぞれの動きや姿勢に必要だと感知すればコントロールされていきます。
特に姿勢では筋力よりも筋緊張が非常に重要なポイントになります。
〇さいごに
脳卒中後の症状として手足の麻痺が見られますが、同時に腹部にも麻痺が生じることが多いです。
腹部は体幹全体や手足を安定させるために、実際に動く前に筋活動が開始されます。
この筋活動が開始されるタイミングこそが腹部の筋活動で最も重要です。
筋活動、筋緊張をコントロールするための条件を評価しながらリハビリを進めていくことが手足の麻痺を改善するためには大切です。
最後までお読みいただきありがとうございました。
引き続きよろしくお願いいたします。
佐藤