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【脳卒中後遺症への徒手療法】理学療法士が感じる筋肉の反応とは⁉

 リハビリにおける技術には、徒手療法という療法士の手で筋肉や動作に直接的にアプローチする方法があります。


 病院でリハビリを受けられた方の多くが、この徒手療法を経験されているのではないでしょうか。


 徒手療法はロボットや電気などの施術と組み合わせることもあり、特に脳卒中後遺症の症状に対しては繊細かつ適切な刺激を見極めることが必要になります。



 今回の記事では、療法士・セラピストが筋肉に触れている際にどんな反応を感じ取っているのかをお伝えしていきます。患者さん自身も療法士が何をしているのか知ることで、よりご自身の体を知るきっかけや自主リハビリに活かすこともできますので参考にしてください。

当施設でのリハビリ場面はこちらからご視聴できます。

 当施設のリハビリは徒手療法を中心に行っており、患者さんの状態や症状に合わせて筋肉を動かす強さや刺激量を常に調整しながら行っています。

〇徒手療法とは


 近年は再生医療やロボットなどの技術が向上していますが、現在でも徒手療法は主流のリハビリ方法、技術となっています。


 療法士・セラピストが患者さんの筋肉などに触れ、直接的に体の反応、応答を感じとることができ、さらにその反応に対して刺激の質や強さ、方向などを瞬間的に適応させることができます。


 もちろん数値などで表せるものではないので、知識や技術量、経験などが加味されますが脳卒中の後遺症である筋緊張や姿勢・運動コントロールのように動きや姿勢の移り変わりにおける筋出力や筋緊張コントロールを改善していくためには非常にメリットの多い手法になります。


 実際にリハビリを受けた方、見た方は筋肉を直接的に動かしたり、伸ばしたりしているように見えるかもしれませんが徒手療法において重要な要素は、患者さんの反応に対して動かしていくことです。


 決して療法士目線だけで、無理やり筋肉を伸ばしたりしているわけではなく、筋肉に刺激した際の反応を感じ取ったうえでリハビリを進めていきます。


 徒手療法では、常に患者さんの反応を感じ取り続けながら刺激する部位や強さなどを決めていくので決して療法士の一方的な内容にならず患者さんの体に合わせた内容を選別していきます。

〇徒手療法の種類


徒手療法にもいくつかの種類や整形疾患、脳卒中に特化した手技などに分かれます。

・主に整形疾患に使用され、一部脳卒中や神経疾患などの応用されている手技

 1. 関節モビライゼーション(Joint Mobilization)
  ・関節に対して、痛みが出ない範囲で小さな振幅の動きを加えて、可動域を改善
  ・グレード1〜5の段階があり(Maitland法など)、痛みの軽減や関節可動域の改善を目的とする

 2. 関節マニピュレーション(Joint Manipulation)
  ・高速で小さな範囲の動きを関節に加える手技(スラストテクニック)
  ・「ボキッ」という音が鳴ることもあり、特に整骨やカイロプラクティックで用いられる

 3. 筋膜リリース(Myofascial Release)
  ・筋膜(筋肉を包む結合組織)を緩めることで、筋肉の動きや姿勢を改善
  ・持続的な圧やストレッチで筋膜の癒着を解消

 4. トリガーポイント療法
  ・筋肉の「硬結(しこり)」=トリガーポイントを押圧して筋肉の緊張と痛みを軽減
  ・持続的な圧迫やリリースで筋肉の過緊張を緩和


 これらの徒手療法は、理学療法士、作業療法士などの専門職が適切に判断して行います。



 ・脳卒中や神経疾患に特化した手技で神経学的アプローチとも表現されるもの

 1. ボバース法(Bobath Concept)
  ・脳卒中や脳性麻痺などの中枢神経障害に対するアプローチ
  ・セラピストが手で動作を誘導し、正常運動パターンを学習させる
  ・姿勢コントロールや運動協調性の改善を目指す
  ・手技として「ハンドリング」があり、徒手的に筋緊張や姿勢を調整

 2. PNF(Proprioceptive Neuromuscular Facilitation)
  ・固有受容器(関節・筋・腱の感覚)を刺激して、運動機能を高める
  ・ストレッチや抵抗運動を伴い、協調的な筋活動を促す

 3. Vojta(ボイタ)法
  ・姿勢や運動パターンの正常化を目的とする
  ・特定の姿勢と刺激によって、反射的に運動を引き出す手法

 4. フェルデンクライス・メソッド
  ・主に中枢神経系の再学習を促す
  ・ゆっくりとした徒手的な動きと感覚の気づきにより、運動パターンを再教育
 

【徒手療法と神経学的アプローチの違い】

分類主な目的手技の特徴対象
関節モビライゼーション等関節・筋の構造的改善関節や筋への直接操作整形外科系疾患
ボバース・PNFなど運動学習と神経機能回復手による動作誘導・刺激中枢神経系疾患(脳卒中など)


こういった徒手療法の種類があり、各疾患や症状に合わせて療法士がリハビリに使用します。どの徒手療法においても、それぞれの療法士が行える技術は異なります。


 それではこの記事で一番重要になる、療法士が手で感じ取っている反応などはどんな内容なのかをお伝えしていきます。

〇徒手療法で療法士が感じ取っている反応とは?


 この記事でお伝えしたいのは、筋肉の硬さなどではなく触れた際に生じている反応・応答です。皮膚や筋肉に触れることは、患者さんからするとすべて外部刺激(物や人からの刺激)になります。


この外部刺激に対して体は常に反応しており、以下のようなものが挙げられます。

➀刺激に順応するような反応
②刺激に反発するような反応
③刺激とは違う方向や質の反応
④刺激に対して引き込む反応
⑤刺激に対して反応が少ない


 上記の反応が1つ1つの筋肉や関節運動で異なり、混合している事がありこれらの反応を感じ取り刺激に対して必要な反応に調整していくことが徒手療法では重要になります。


 刺激に対して必要な反応とは、例えば1つの筋肉を伸ばす際に療法士の刺激と同じ速度や強さで筋肉が伸びていくことや各関節へ動きが伝わるような反応(➀の刺激に順応する反応)になります。


 この刺激に順応するということは、ご自身の体の重さや重力、物の重さなどからの刺激に対して適切な筋活動となり滑らかな関節運動や動作へ繋がっていきます。徒手療法において触れるという事は、このような反応を療法士が感じ取りながら刺激に対する体の反応(無意識的な動き)を改善していくことになります。


 患者さんの反応を感じずに伸ばす、動かすことはかえって硬さやこわばり、つっぱりなどの症状を強めてしまうこともあるので非常に重要な要素です。



 当事者の方に知って欲しいのは、こういった反応が存在することでご自身の体がどのような反応になりやすいのかという事です。



知っていただくことで自主リハビリの内容や質は大きく変化していきます。


 ストレッチをしても硬さが変わらない、もしくはストレッチされるとかえって硬さが増してしまう場合は、筋肉を伸ばすという刺激に対して引き込むような活動が強く生じているので筋活動を伴った動きの中で筋肉を伸ばす(ストレッチは筋活動が伴わない)ことが重要になります。

ストレッチしても硬さが改善しない方はこちらの動画を参考にしてください。

同じ脳卒中、脳出血、脳梗塞でも発症された脳部位で筋肉の硬さは異なります。

 
 同じ筋肉の硬さであっても背景にある原因や個々の部位などは一人ひとり異なるので、自主リハビリの際は必ず療法士の方に方法だけではなくご自身の体の反応がどうなっているのかをお聞きすることが大切です。
 

トリアのリハビリ情報

脳卒中や神経疾患等による症状の改善希望やご相談の方は、HPの情報をご参照ください。

〇トリアの公式LINE


 当施設では日ごろの店舗でのリハビリや訪問リハビリ等に加えて、当事者の方や患者さんへの情報発信を行っております。本サイト上でのブログの更新、YouTube、各SNSなどを取り組む中でより患者さんが感じている疑問や不安などの声を聞く様になりました。その疑問などにお答えして、リハビリやご自宅での自主リハビリが良い方向へ進むようにトリアの公式LINEでリハビリ関する内容についてお伝えしています。

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〇さいごに


 今回は徒手的に行う際に療法士が手で何を感じ取っているのか、また患者さんの体でどんな反応が生じているのかをお伝えしました。


 体を軽く動かす、滑らかに動かすなど無意識的に行っている動作は筋肉や関節などに大きな負荷は生じていないのでリハビリにおける刺激量や負荷も強ければ良いというわけではありません。


 ご自身の体に合った方法や刺激量を確認しながら自主リハビリを進めていくことが大切です。


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