トータルリハビリテーション
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豆知識
数日から数か月にわたってお腹の辺りが痛む、胃痛がする、不快感が強いなどの症状があり内臓疾患を疑い病院を受診した経験はありますか?
病院では血液検査や尿検査、胃・大腸カメラ、CTなどの精密検査を行なっても胃や内臓に問題がないと言われる方は40〜50%と多くいらっしゃいます。
その方々に考えられることは内臓などの炎症、潰瘍ではない場合、心身症とよばれるストレスからくる胃腸の働きの低下、もしくはそれによる腹壁(腹筋群)の過緊張により、痛みや不快感が出ている可能性があります。
その診断として機能性ディスペプシアや神経性腹部緊満症と言いものがあり、機序や鍼灸で改善する可能性を紹介していきます。
目次
1.腹壁の構造と役割
2.心身症とは
3.機能性ディスペプシア
4.神経性腹部緊満症
5.腹壁が硬いとどうなるか
6.鍼灸で腹壁の緊張を緩和させる
当施設の鍼灸についてはホームページを参考にしてください。
1.腹壁の構造と役割
腹壁とは、肋骨下から下腹部までを覆っている全体的な部位の事で腹直筋、外腹斜筋、内腹斜筋、腹横筋などの筋肉や筋肉を覆っている筋膜、腹膜などで構成されています。
腹壁の役割は運動時や体幹の安定性、呼吸の補助、外部刺激から内臓を守るなどがあります。
2.心身症とは
日本心身医学会によると、「心身症とは身体疾患の中で、その発症や経過に心理社会的因子が密接に関与し、器質的ないし機能的障害が認められる病態をいう。ただし、神経症やうつ病など 、他の精神障害に伴う身体症状は除外する。」とされています。
簡単に表現にすると何らかの体の不調が、持続的な緊張やストレスによって発生したり、症状が増減したりするような場合には心身症に当てはまるということになります。
3.機能性ディスペプシア
心身症の中の1つでもある機能性ディスペプシアとは、検査で明らかな異常がないにもかかわらず慢性的なみぞおち辺りの痛みや胃もたれなどの上腹部症状を現す病気を指します。
慢性的な上腹部症状は、胃や十二指腸の炎症、潰瘍、がんなどの病変(器質的異常)によって引き起こされることが多いですが、病変が認められない場合もあります。この場合には、胃や十二指腸の機能的な問題によって症状が引き起こされていると考えられます。
具体的な症状は以下のようなものが挙げられます。
☑みぞおちの痛みや不快感
☑食後の膨満感
☑早期満腹感
☑胃もたれ
☑吐き気
機能性ディスペプシアの罹患率は全人口の約20%であると報告され、頻度の高い身近な病気で再発を繰り返すと言われています。
4.神経性腹部緊満症
神経性腹部緊満症とは、ストレスが関与し発作的に腹壁の緊張や下腹部の膨隆がみられ事を指します。
この症状はなんらかの心理的要因や情動的因子が関与し、腹部の緊張につながる事を指しており簡単に説明するとストレスにより、肩や首だけではなく腹筋群も硬くなるということです。
筋肉は固くなりすぎると、その周辺に痛みや不快感を生むこともあります。
5.腹壁が硬いとどうなるのか
腹壁が何らかの理由で硬くなると以下のような症状を引き起こすことがあります。
☑腹痛
☑腹部膨満感
☑吐き気
☑便秘・下痢
☑食欲不振
☑消化不良
☑腰痛
お腹の不快感だけではなく、腰や背部痛にもつながる方もいらっしゃいます。また肋骨の広がりに影響が出るため呼吸が浅くなり、生活していて息苦しさを感じる方も多いですし睡眠の質も下がってしまいます。
姿勢では猫背や反り腰といった状態にもつながっている方もいらっしゃいます。
6.鍼灸で腹壁の緊張を緩和させる
今回紹介した機能性ディスペプシアや神経性腹部緊満症などは心療内科を勧められ事もあるようですが、鍼灸が効果的になる場合もあります。
鍼灸師としてはストレスからくるものですので、リラックス神経(副交感神経)を優位にすることを目的とした、鍼治療でくびや肩まわりをはじめ、肘まわり(曲池、小海)膝まわり(陰陵泉、曲泉)足首まわりに鍼をすると、身体全体がリラックスしていき、胃腸の活動も活発(正常)になり腹部の緊張の緩和がみられます。
また腹筋群を緩めるために、直接お腹まわりに鍼治療を行うのも有効です。
おわりに
今回は治らない、長引くお腹の痛みや胃痛に関して紹介しました。
機能性ディスペプシアや神経性腹部緊満症という名前は聞きなれないですが、決して珍しい症状ではありません。
病院等で検査しても原因が分からないという場合には、鍼灸を受けてみることをお勧めします。