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豆知識

声がかすれる・飲み込みにくいは迷走神経がカギ!

その症状、迷走神経の機能低下かもしれません

年齢とともに声がかすれる、喋りづらくなる、飲み物が飲み込みにくい、むせる回数が増えた…などのそんなお悩みがある方は 副交感神経(迷走神経)の働きの低下が関係している可能性があります。

迷走神経は喉・声帯・嚥下(飲み込み)の動きに深く関わる神経のひとつでこの神経がうまく働かなくなると、声や飲み込み機能は少しずつ弱ってしまうのです。

〇目次
①迷走神経とは
②迷走神経の役割
③なぜ迷走神経は弱くなる?
④迷走神経の活性化で嚥下や声帯へのアプローチ (鍼灸や指圧、ストレッチなど)
⑤セルフケア
⑥まとめ

①迷走神経とは

迷走神経は 副交感神経を代表する神経で、その働きの約7〜8割を担っていて脳から胸や内臓まで幅広く伸びており、12対ある脳神経の中で最も長い神経です。脳から身体へ「指令を送る神経(下行性)」と身体の情報を脳へ届ける「上行性」の両方を持つ重要な神経で、その複雑な広がりから「迷走(=あちこちへ走る)」と名付けられています。

自律神経(交感神経と副交感神経)は
交感神経が(消耗・興奮・活動・パワー)で副交感神経が(回復・脱力・リラックス・消化器官の活動)です。

②迷走神経の主な役割

迷走神経は喉周りの筋肉をコントロールし、飲み込む(嚥下)・声を出す(発声)などに直接関わります。
さらに役割はそれだけではありません。

呼吸を整える
呼吸のリズムを調整し、深くゆっくり呼吸ができる状態へ導きます。リラックスしやすくなり、緊張が自然と和らぎます。

心拍数をコントロールする
心臓にブレーキをかけ、ドキドキしすぎないよう調節します。ストレス状態で高まった心拍を落ち着かせる働きがあります。

胃腸の働きをサポートする
胃酸や消化液の分泌、腸の動きを促進します。
食べ物の消化・排泄がスムーズになりやすくなります。

免疫・炎症反応の調整
迷走神経には炎症を抑える働きがあり、身体の回復力にも関与します。

迷走神経は呼吸・心臓・消化・声帯・免疫など、多くの機能に関わる生命維持に重要な神経です。

③なぜ迷走神経は弱くなる?

大きな要因は 加齢 + ストレスにより自律神経の総合的な力(トータルパワー)は年齢と共に低下します。

※自律神経のトータルパワーの評価は心拍変動解析によるもの

20代を100%とすると
50代で約1/3
60代では約1/4にまでトータルパワーは下がってしまいます

この副交感神経(迷走神経)の機能低下によって嚥下や声帯の動きも弱まり以下の症状がでます。
・声がかすれる
・飲み込みにくい
・むせやすい

さらに
• 疲れやすい、だるい
• 睡眠が浅い、夜中に何度も起きてしまう
•胃腸の不調(便秘/下痢/食欲低下)
•手足の冷え •  気分の落ち込みなど、身体面・精神面にも影響が及びます。
また自律神経失調症とよばれる様々な不調につながる可能性もあります

④鍼灸で迷走神経を活性化し嚥下や発声へのアプローチ 

改善のポイントは次の2つです。
1)迷走神経を活性化させる
2)深い呼吸(腹式呼吸)ができる身体に戻す

1)鍼灸で迷走神経へ直接アプローチ
迷走神経を働かせるには 首〜頭の血流改善が必須ともいえるため鍼灸では主に以下のツボを用いて緊張を緩めます。
太陽 / 神庭 / 天柱 / 風池 / 完骨 / えい風 / 百会 など

鍼灸治療により 脳への血流が改善し、迷走神経が働きやすい状態へ促します。

2)呼吸筋へアプローチし腹式呼吸を回復

呼吸が浅いと迷走神経が働きにくくなるため、腹式呼吸がうまくできるように胸郭周囲の筋肉も柔軟に保つ必要があります。

主な対象は、胸鎖乳突筋 / 斜角筋 / 僧帽筋 / 大胸筋 / 腹筋群になります。猫背・巻き肩がある方は 胸椎の柔軟性の改善も並行して行います。

その結果、肋骨やお腹がしっかり膨らむようになるため呼吸が深くなっていき、迷走神経の活性化のほかにも声を出すための筋肉や組織に十分な酸素と栄養が行き渡るため、より効果的に機能していくようになります。

⑤自宅で出来る迷走神経のセルフケア

セルフケアを続けることで改善スピードが大きく変わります。

深呼吸+胸郭ストレッチ(最優先)
・鼻から4秒吸う
・お腹(横隔膜)をふくらませる
・口から8秒でゆっくり吐く
毎日5分でOK。続けるほど声帯が滑らかに動きます。

深い呼吸(腹式呼吸)は横隔膜をしっかり動かすことで迷走神経へ機械的刺激が加わり、副交感神経反応が高まります。

・横隔膜 → 迷走神経を直接刺激
・胸郭の柔軟性UP → 肺が広がりやすく酸素供給が改善
これは迷走神経核(延髄)へのインプットを増やし、嚥下中枢・発声中枢を含む脳幹部への血流改善にもつながります。

セルフケアは続けていくほど
・呼吸が深くなる
・リラックスが自然に起きやすくなる
・ 声帯・嚥下筋群が働きやすい体になる

ほかにも

体を動かすこと
ジョギング / ヨガ / ピラティス / 筋トレ→ 軽い運動でも迷走神経反応が高まります。

運動習慣が迷走神経に効く理由
軽い運動は中枢神経の可塑性を高め、迷走神経活動を改善します。運動により心拍の変動幅(HRV=自律神経バランスの指標)が増えますが、これは 迷走神経がしっかり働けている証拠です。
・血流改善 → 喉頭・舌骨上筋群の緊張が低下
・呼吸筋の強化 → 声帯振動の安定と嚥下力の向上
鍼灸で整えた神経反応を 運動が維持・強化してくれるイメージです。

冷水刺激(安全にゆっくり)
手首・顔を冷水で数秒刺激するだけでもOK。※心疾患がある方は医師に相談のうえ慎重に。

冷水刺激(水刺激)が有効な理由
手首・顔・首もとなどに冷刺激を加えると、生命維持機能として迷走神経が働き、心拍や血圧を調整しようとします。つまり 短時間の適度な冷刺激は迷走神経の活性化につながります。
ただし急冷は交感神経を優位にするため、
・冷水刺激は短く穏やかに
・心疾患がある場合は注意する  が重要なポイントになります。

歌う・ハミングする
声帯を振動させ、迷走神経を直接刺激します。発声が苦しい方は まず軽く鼻歌から。

歌う・ハミングが効果的な理由
声帯を震わせる行為は迷走神経の喉頭枝を直接刺激します。とくに ハミングは声帯振動が滑らかで負担が少ないため初心者にも良い刺激になります。
・呼気量増加 → 横隔膜の運動が活発
・声帯振動 → 喉頭周囲の血流改善
・神経入力が増える → 発声機能が回復しやすい
話すより歌うほうが迷走神経の活性刺激が強い理由はこのためです。

⑥まとめ

•迷走神経は嚥下・発声のキーとなる神経
•加齢・ストレス・呼吸の浅さで機能低下する
•鍼灸 × 呼吸改善=嚥下・声帯トラブルの根本改善
•深呼吸・ストレッチ・歌う習慣がセルフケアとして最適

飲み込みにくい、声がかすれる、喋りづらい…
その背景には 迷走神経の働きの低下が潜んでいるかもしれません。
丁寧な施術と日々のケアで機能は回復していきます。ぜひお悩みがあればご相談ください。

細川

〇執筆・監修者情報
 佐藤浩之:施設長
~経歴~
 1991:千葉県生まれ
 2013:国家資格(理学療法士)を取得し、千葉県内の病院へ入職
 2015:大手自費リハビリ施設へ入職し施設長を経験
 2017:JBITA公認ボバース成人片麻痺基礎講習会修了
 2022:トータルリハビリテーション トリアを開設