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腕・手のしびれや痛みは首の圧迫が原因⁉胸郭出口症候群とは

最近「ペットボトルのフタが開けづらくなった」「細かい作業をすると手がすぐ疲れる」「腕を上げていると、しびれや痛みが強くなる」「小指や薬指がピリピリする」

このような症状でお悩みではありませんか?

整形外科でレントゲンやMRIを撮っても
「骨には異常がない」「様子を見ましょう」と言われ、湿布や痛み止めで経過観察になっている方も少なくありません。

「手に力が入らない」「握力が落ちた」「腕が痛む・しびれる」といった症状が気になる方は、胸郭出口症候群(きょうかくでぐちしょうこうぐん)の可能性があります。

目次
1 胸郭出口症候群とは?
2 胸郭出口症候群の主な症状
3 胸郭出口症候群になりやすい方の特徴
4 圧迫部位による3つのタイプ
5 胸郭出口症候群の代表的な検査法
6 鍼灸治療・指圧で狙う筋肉とツボ
7 自宅でできるセルフケア
8 まとめ

1 胸郭出口症候群とは?


首から腕に伸びる神経(腕神経叢)や鎖骨の下を通る血管が、周囲の筋肉によって圧迫されて起こる症状の総称です。

首から腕にかけて伸びている神経のどこが圧迫されるか、もしくは神経だけの圧迫なのか血管も圧迫されているのかで症状が異なります。

2 胸郭出口症候群の主な症状


胸郭出口症候群の症状は、特に腕を上げる動作で強くなりやすいのが特徴でつり革を掴んだり洗濯物を干す、髪を洗うなどの日常動作で出現します。

具体的には肩から腕、肩甲骨周囲にかけての重だるい痛みや違和感、前腕の小指側に沿ったうずくような痛み、小指から薬指にかけてのしびれやビリビリする感覚が現れます。

また進行するとしびれなどの感覚異常に加え、握力が低下し手の力が入りづらいたり、箸やペンなどの細かい動作がやりづらくなるなどの身体機能にも影響する場合があります。筋力低下の特徴としては、手の平の筋肉(手内筋)がやせ指の形が変化することもあります。

神経以外にも血管が圧迫されている場合には、動脈と静脈でそれぞれ症状が異なります。
・動脈の圧迫:腕や手が白っぽくなり、冷感や痛みを感じる
・静脈の圧迫:腕が青紫色になり、むくみや重さを感じる

神経、血管のどちらも障害されることがあるため症状は多岐にわたります。

3 胸郭出口症候群になりやすい方の特徴


胸郭出口症候群は体型や姿勢、生活習慣などと深く関係しています。

 ―姿勢
  なで肩や猫背、巻き肩の方は首や肩周りの筋肉が硬くなり神経や血管の通り道が狭くなりやすい傾向があります。

 -体形
 細身の女性では肩周囲の筋力が不足することで肩が下がりやすく、筋肉質な男性では筋肉のボリューム自体が圧迫要因になることがあります。

 -生活習慣
 長時間のデスクワークや重いリュックや荷物を扱う仕事、腕を頻繁に上げるスポーツなどが影響します。

 -先天的な異常
 生まれつき頚肋(余分な肋骨)がある方や肋骨の形状異常がある場合も発症リスクが高くなります。

さらに手首の捻挫や突き指など外傷の既往が腕全体の筋緊張を高め、胸郭出口症候群の引き金になることもあります。

4 圧迫部位による3つのタイプ


首から腕へ伸びる神経・血管は以下の3か所を通る際に圧迫されやすく、部位により名前が分かれています。

①斜角筋症候群
 前斜角筋と中斜角筋のすき間で圧迫

②肋鎖症候群
 鎖骨と第1肋骨の間(肋鎖間隙)で圧迫

③小胸筋症候群(過外転症候群)
 小胸筋の下で圧迫

これら3つの症候群を総称して「胸郭出口症候群」と呼びます

5 胸郭出口症候群の代表的な検査法

胸郭出口症候群は、画像検査だけでなく、身体所見を重視した徒手検査で評価されます。

アドソンテスト
 首を症状側に向けて深呼吸を行い、脈の変化やしびれの出現を確認

モーレーテスト
 斜角筋部を圧迫し、腕への放散痛やしびれの有無を確認

ルーステスト
 腕を挙げた状態で手の開閉を続け、しびれや疲労感の出現の有無を確認

エデンテスト/ライトテスト
 胸を張った状態で腕を後ろに引く動作や腕を挙げたりといった姿勢変化による血管・神経の圧迫を確認する検査です。

6 鍼灸治療・指圧で狙う筋肉とツボ

胸郭出口症候群は、神経・血管を圧迫する「筋肉のこわばり」を緩めることで大きく改善が期待できます。

筋肉では以下のような部位を緩めることやツボへの刺激が効果的となる場合があります。

―首周り
 ・斜角筋・僧帽筋・胸鎖乳突筋

― 胸郭周り
 ・小胸筋・大胸筋・前鋸筋・広背筋・菱形筋

― 上腕〜前腕
 ・烏口腕筋・上腕二頭筋・上腕三頭筋など

―よく使うツボ
 ・中府(ちゅうふ)・雲門(うんもん)・肩井(けんせい)・肩外兪(けんがいゆ)・天宗(てんそう)・手三里(てさんり)・曲池(きょくち)

特に斜角筋や小胸筋の硬さは最重要ポイントで、実際の臨床では肩甲骨周りや上腕の内側、前腕の筋などの離れた場所にも強い癒着が見られることもあるため丁寧にゆるめることで回復スピードが大きく変わります。

7 自宅でできるセルフケア

胸郭出口症候群はセルフケアでも症状改善が期待でき、鎖骨まわりのマッサージでは神経・血管の通り道を「広げる」意識が重要です。

斜角筋の指圧では、欠盆付近(鎖骨中央のくぼみ)を軽く刺激し痛みが出ない範囲で行うことが大切です。また胸筋のストレッチや指圧(ツボ:雲門・中府)で胸を開くことにより肩の位置が改善され圧迫が軽減されやすくなります。


おすすめの胸周りの筋肉ストレッチ
 1.壁に片方の手のひらをつける
 2.手をつけたまま胸の前を開くように体を回す(左側であれば時計周り)
 3.「痛気持ちいい」程度で30秒 ※痛みや痺れが強い場合は中止
 4.これを4回(インターバル30秒以内)
胸筋がゆるむと、肩の位置が改善され圧迫軽減につながります。 

8 まとめ

胸郭出口症候群は①斜角筋、②肋鎖間隙、③小胸筋の3か所のどこかで神経・血管が圧迫されることで起こります。症状は腕や手に出ますが、原因は深層の筋肉の緊張にあるため表面だけをケアしても改善しにくいことがあります。

セルフケアで変化が乏しい場合は、筋の深部硬結や神経の滑走障害が強く表面的な刺激では不十分な状態ですので鍼灸治療が非常に有効です。

深部の筋肉に直接アプローチすることでしびれや痛みが大きく改善する方もいますので、つらい症状を抱えている方はぜひ一度ご相談ください。

〇執筆・監修者情報
 佐藤浩之:施設長
~経歴~
 1991:千葉県生まれ
 2013:国家資格(理学療法士)を取得し、千葉県内の病院へ入職
 2015:大手自費リハビリ施設へ入職し施設長を経験
 2017:JBITA公認ボバース成人片麻痺基礎講習会修了
 2022:トータルリハビリテーション トリアを開設