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豆知識

片麻痺リハビリと睡眠―「リハビリの定着・成果/運動学習」を高めるために

脳卒中後のリハビリでは立ち上がる練習や歩行練習、手を伸ばしたり物をつかんだりする動作を繰り返し練習していきます。これらの練習で身についていくのは、「体で覚える記憶(手続き記憶)」と呼ばれる種類の学習です。

この手続き記憶は練習したその場で完全に記憶されるわけではなく、一度不安定な状態で脳内に保存され睡眠中に整理されて強く記憶されていくと考えられています。つまり、日中に行うリハビリは「練習の時間」、そして適切な睡眠は「その練習を脳に定着させる時間」という関係にあり、この二つが適切にそろうことでリハビリの効果がより高まりやすくなる可能性があります。

目次
睡眠は「休む時間」でありながら「リハビリが進む時間」
睡眠を挟むことで動作が安定する ― 睡眠依存学習
起きて休むだけでは代わりにならない理由
脳卒中後は「眠りにくくなる」方が少なくない
睡眠不足が「成果の不安定さ」に影響することがある
鍼灸治療が「睡眠」と「リハビリの定着」を支える可能性
まとめ

睡眠は「休む時間」でありながら「リハビリが進む時間」

睡眠は単に体を休ませるだけの時間ではありません。

眠っている間に脳の中では日中に練習した動きが再び確認され、必要な運動パターンが強められ逆に無駄な力みや不適切な動作が整理されていきます。

こうした神経回路の再調整が進むことで、翌日に「少し動きやすい」「余計な力が入らなくなった」と感じることがあります。

この変化は気のせいではなく、運動学習と睡眠が深く結びついていることを示す生理学的な現象と考えられています。

睡眠を挟むことで動作が安定する ― 睡眠依存学習

歩行や立位、手の操作などの動作は手続き記憶と呼ばれる仕組みに支えられています。

この記憶の特徴は、練習直後よりも、睡眠を挟んだあとに動きが安定してくるという点です。

リハビリの最中にはあまり変化を実感できなくても、翌日や数日後になって「少しスムーズに動けるようになった」と感じることがあります。

これは睡眠中に神経回路の再編成が進み、練習した動きが“使いやすい形”に整えられていくためであり、医学的には「睡眠依存学習」として位置づけられています。

起きて休むだけでは代わりにならない理由

「横になって休んでいれば同じなのでは?」と思う方もいらっしゃいます。しかし研究では起きたまま休息したり何もせずに過ごしたり、イメージトレーニングだけを行った場合と比べて、睡眠をとった場合の方が運動の定着が明らかに強くなることが報告されています。

特に深い睡眠の時間帯や睡眠紡錘波が出現している局面(図の前半に起こる深いノンレム睡眠)では、リハビリで使用された運動パターンが再活性化され、脳内で再処理されていると考えられています。

こうした働きは、起きているあいだには十分に起こらないため、睡眠そのものが回復過程の重要な一部といえます。

脳卒中後は「眠りにくくなる」方が少なくない

脳卒中を発症された方は眠りが浅くなったり、夜中に何度も目が覚めたり、朝早く目が覚めてしまうといった睡眠障害が生じやすくなります。

これは脳の損傷そのものに加えて、入院や生活環境の変化、身体の緊張や不安、こむら返りや痛み、頻尿などさまざまな要因が重なって起こるものです。

脳卒中後には比較的よく見られる症状のひとつであり、治療や支援の対象となる問題です。

睡眠不足が「成果の不安定さ」に影響することがある

脳卒中後の不眠が続くと、脳が運動情報を整理する時間が不足し「昨日はできたのに今日はできない」「動きが安定しない」「調子が良い日と悪い日が明確にあるけどなぜか分からない」と感じやすくなることもあります。

回復が進みにくく感じられる背景には、練習量だけでなく睡眠の乱れが影響している場合もあると考えられます。

だからといって睡眠時間が短くてもリハビリが無駄になるわけではありません。睡眠が不足すると練習で身についた動きの定着がやや弱くなったり、疲れやすく集中しにくくなったりすることがあります。しかし、練習してきた内容がゼロに戻ってしまうわけではありません。

大切なのは睡眠の状態を少しずつ整えながらその日の体調に合わせてリハビリを継続していくことです。

鍼灸治療が「睡眠」と「リハビリの定着」を支える可能性

鍼灸治療は筋緊張の緩和や自律神経機能の調整を通して、身体と脳がリラックスしやすい状態をつくることを目的とした治療です。

交感神経の過活動が抑えられることで入眠しやすくなったり、夜間の覚醒が減ったりすることで深い睡眠に入りやすくなったと感じる方が非常に多いです。

こうした変化は、睡眠中に行われる神経可塑性の働きを支え、リハビリで練習した動作がより定着しやすい環境づくりにつながると考えられます。

鍼灸はリハビリの代わりになるものではなく、その効果を下支えする“土台づくりの医療”として位置づけられます。

まとめ

リハビリで行われる「体で覚える学習」は、その多くが睡眠中に整理・定着されます。脳卒中後には不眠が起こりやすく、回復の感じ方や動作の安定性に影響することがありますが、不眠の日が続いたからといってリハビリが無駄になるわけではありません。

睡眠を整えながら練習を積み重ねていくことが、回復の土台づくりにつながります。

鍼灸治療は、自律神経や筋緊張の調整を通して睡眠とリハビリの両方を支える補助的アプローチとして活用でき、リハビリ環境をより整える可能性があります。

「適切な睡眠もリハビリの一部になる可能性がある」ということも視野に入れてみてはいかがでしょうか。

細川

〇執筆・監修者情報
 佐藤浩之:施設長
~経歴~
 1991:千葉県生まれ
 2013:国家資格(理学療法士)を取得し、千葉県内の病院へ入職
 2015:大手自費リハビリ施設へ入職し施設長を経験
 2017:JBITA公認ボバース成人片麻痺基礎講習会修了
 2022:トータルリハビリテーション トリアを開設