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豆知識
厚生労働省の調査によると、更年期障害の可能性があると感じている人の割合は、50代女性で38.3%、50代男性で14.3%と報告されています。
とくに男性の場合、「更年期=女性のもの」というイメージが根強く、実際には数値以上に不調を感じながらも我慢している方が多いと考えられます。
「年齢のせいだから仕方ない」「気のせいだろう」と見過ごされやすいのが、更年期のつらさでもあります。
更年期障害とは?
更年期の不調が起こる3つの原因
更年期障害の症状
症状が強い方と弱い方がいるのか、その差は?
鍼灸が更年期に有効な理由
更年期障害の改善の目安
セルフケア
まとめ
更年期障害とは?ホルモン分泌低下だけが原因ではない
更年期障害とは、男女ともに40〜50代頃からホルモン分泌が徐々に低下することで起こる心と体のさまざまな不調の総称です。
女性ではエストロゲン、男性ではテストステロンの分泌が減少し、それに伴い体調や気分の変化が起こります。医療機関では、必要に応じてホルモン補充療法(HRT)が行われることもあります。
ただし、更年期の不調はホルモンの問題だけでは説明できないケースも多く自律神経の乱れが深く関係していることが分かってきています。そのため、薬物療法と並行して心身のバランスを整える鍼灸治療を選ばれる方も増えています。
更年期の不調が起こる3つの原因
更年期の症状はひとつの原因だけで起こるわけではなく、主に次の3つが重なって生じると考えられています。
身体的要因(ホルモン分泌量の低下)

40歳頃から卵巣や精巣の働きは少しずつ低下し、ホルモンの分泌量が減っていきます。
ホルモンの調整を担う脳の「視床下部」は分泌量を保とうとして指令を出し続けますが、体がそれに応えられない状態が続くと視床下部に大きな負担がかかります。
視床下部は自律神経とホルモンの両方をコントロールする重要な中枢です。この部分が疲弊することで自律神経のバランスが乱れやすくなり、更年期特有の症状が現れやすくなります。
内的要因(性格・心理的ストレス)
心配性、完璧主義、責任感が強いといった性格傾向がある方は、ストレス刺激に敏感になりやすく自律神経が影響を受けやすい可能性があります。
「頑張りすぎてしまう」性格が症状を【長引かせる・悪化させる】要因になることもあります。
外的要因(環境や生活の変化)

更年期の時期は家庭や職場での役割が大きく変わりやすい時期でもあります。
親の介護、仕事上の責任増加、人間関係の変化などが重なり、気づかないうちに心身へ負担が蓄積していきます。
更年期障害の主な症状 (個人差があり、男女によっても現れ方が異なります。)

※更年期の症状には個人差があり、男女によっても現れ方が異なります。
代表的なものとして、顔や胸、背中が急に熱くなるホットフラッシュ、理由のないイライラや不安感、気分の落ち込みなどがあります。また、寝つきが悪い、夜中に目が覚める、動悸や発汗で眠りが浅くなるといった睡眠の問題もよく見られます。
身体的には、慢性的な肩こりや腰痛、全身のだるさ、頭痛やめまい、耳鳴り、関節の痛み、ばね指などを訴える方も少なくありません。
とくに、ホットフラッシュ・睡眠障害・筋肉や関節の痛みが同時に現れる方が多いのが特徴です。
検査をしても内臓などに明らかな異常が見つからない場合、更年期症状は自律神経失調症の一種として捉えられることもあります。
症状が強い方と弱い方の違い、その差は?
ホルモン分泌の低下自体は、誰にでも起こる自然な変化です。しかしストレスや生活習慣、環境要因が重なることで自律神経の乱れの度合いが大きく変わり、それが症状の強さのカギといえます。
「自律神経がどれだけ安定しているか」が、更年期症状の強さを左右する重要なポイントといえるでしょう。
鍼灸治療が更年期障害に有効とされる理由
鍼灸治療は次のような働きを通じて更年期の不調をサポートします。

自律神経のバランスを整える
鍼刺激は視床下部や脳幹、脊髄などに作用し、過剰に働いている交感神経を落ち着かせ、副交感神経(リラックス系)を高めることが報告されています。
これにより、ホットフラッシュや動悸、不眠といった症状の緩和が期待できます。
血流を改善し、筋緊張をゆるめる
鍼は筋肉の血流を促進し慢性的な肩こりや腰痛、頭痛を和らげます。
体のこわばりが取れてくることで、睡眠の質が向上し疲労回復力も高まりやすくなります。
視床下部への作用によるホルモン調整のサポート
鍼刺激は視床下部―下垂体―副腎系(HPA軸)に影響を与え、ホルモン分泌の調整を間接的に支える可能性が示唆されています。ホルモン補充療法が難しい方にとっても無理の少ないサポート手段となります。
脳内ホルモンの分泌促進

鍼治療によってオキシトシンやセロトニン、βエンドルフィンといった「安心感」や「気分の安定」に関わる脳内物質が分泌されることが分かっています。不安感やイライラ、気分の落ち込みの軽減にもつながります。
症状改善までの期間の目安
症状の程度や日常生活の負担などストレスの量によって個人差はありますが、一般的な目安としては、1〜4週ほどで首肩こりや頭痛などの身体的な緊張が和らぎ始めます。
1〜3ヶ月ほど経つと、睡眠の質が改善し中途覚醒やホットフラッシュの頻度が徐々に減っていく方が多くなります。
3〜6ヶ月ほど継続すると日常生活のストレスに対する耐性が高まり、心身の安定を実感される方が増えてきます。
症状が強い場合は、半年から1年ほどかけてゆっくり改善していくケースもあります。
通院ペースの目安としては、最初の3ヶ月は週1回、その後は症状に合わせて2週に1回へ調整するのが理想的です。
更年期のセルフケア
日常生活の中でできるセルフケアも、症状改善の大切な土台になります。
ウォーキングや軽いストレッチなどの有酸素運動は、自律神経を整える助けになります。ただし、暑い時期や湿度の高い日の無理な運動は逆効果になることもあるため注意が必要です。

食事ではたんぱく質や食物繊維、不足しやすいビタミンミネラル類を意識しカフェインやアルコールの摂りすぎは控えめにしましょう。
また、深呼吸は最も手軽にできるセルフケアのひとつです。4秒で吸って、8秒で吐く呼吸を意識すると副交感神経が働きやすくなります。座った姿勢より、立って行う方が効果的な場合もあります。
まとめ
更年期障害はホルモン分泌の低下だけでなく、自律神経やストレスの影響が大きく関わる症状です。
鍼灸治療は、自律神経の調整、血流改善、ホルモンバランスのサポート、心身のリラックスといった多方面から働きかけることができ、更年期の不調と相性の良い治療法といえます。
セルフケアだけではつらさが改善しない場合、副作用が少なく、無理なく続けやすい選択肢として、鍼灸治療を検討してみてください。
〇執筆・監修者情報
佐藤浩之:施設長
~経歴~
1991:千葉県生まれ
2013:国家資格(理学療法士)を取得し、千葉県内の病院へ入職
2015:大手自費リハビリ施設へ入職し施設長を経験
2017:JBITA公認ボバース成人片麻痺基礎講習会修了
2022:トータルリハビリテーション トリアを開設