トータルリハビリテーション
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豆知識
今回は脳卒中により利き手側(主に右片麻痺)が麻痺してしまい、利き手交換するか悩んでいる方にどんな練習が効果的か紹介していきます。
手のリハビリをされる方で利き手で行う、書字、箸の使用などのご希望があります。
実際の動作を繰り返すことも必要ですが、それに合わせて練習することでより効果を高めてくれることもあります。
書字や箸に共通するのは細かい動作(巧緻動作)で、動きも重要ですが特に「感覚」についてお話していきたいと思います。
書字や箸動作の自主リハビリはこちら
アクティブタッチ
アクティブタッチとは、自ら触ろう(能動的)とした際に生じる感覚(知覚)で触れられた感覚とは大きく異なります。触る、握るなどを指先の動きが少ない段階から「意識する」ことで、手は物の形や硬さに順応しようと活動していきます。
また自分の意識が向いていることで、運動経験や感覚の学習となり運動が記憶されやすくなります。
特に指先のような意識的に動かすような動作では、どこに意識を向けるのか、感覚を得ようとするのかは非常に重要なポイントとなります。この意識的というのは、随意性と同じような意味合いで意識的に指を動かせるのかということで、歩行における足の支持は無意識な活動が大半となるので異なってきます。
ダイナミックタッチ
ダイナミックタッチとは、物の抵抗感を感じ取ることです。ペンを持ち紙にペンの先が密着し抵抗感が生まれますがペンは物で感覚がないのにも関わらず、このペン先の抵抗感は感じ取ることができます。箸で豆腐を触った瞬間に、「柔らかい」と感じることもペン先とはことなる滑らかな抵抗感となり認識することができます。
このように物を通して感覚が分かることが、手のリハビリでは重要なポイントになります。物は持っているだけではなく、物の重さや傾き、硬さなどの抵抗感を感じることで上手く操作することが可能になります。
感覚、感覚障害に関してはこちらの動画はおすすめです。上肢と下肢に分けて解説していますのでぜひご視聴ください。
動きと感覚は常に切っても切れない関係性にあり、どちらかの機能が改善することでもう一方にも良い影響を与えることができます。
では実際の動作別に練習のポイントを紹介していきます。
〇書字 先端の抵抗感を感じる
書字はペン先の感覚が1.ペンによって変わる、2.書く位置によって変わることがポイントです。
1.ペンによって変わるというのは、マジック、鉛筆、クレヨンなどで抵抗感は大きく変わり以下のようなものがあります。
抵抗感としてボールペン>鉛筆>マジック>クレヨン=ホワイトボードマーカー
抵抗感が強いものは、感覚を共有する際に使いクレヨンやホワイトボードマーカーなどは感覚がある程度わかってきた後にさらに随意性や運動性を高める際に使用したりします。
特殊なのはクレヨンで、クレヨンは色を重ねていくことで滑りやすく(抵抗感がより減る)なり、感覚の変化を捉える練習に適しています。
現在の手の動きや随意性、感覚がどの程度分かるかで使い分けてみてください。
2.書く位置によって感覚が変化するというのは、例えが左から右に直線を書きます。
書き始めは抵抗感が強く、徐々に減っていき最終的にはペン先が紙から浮いて無くなります。この抵抗感の変化を感じる練習は、どこまで線を描くのか、曲がるのか、止めるのかなどのコントロールに必要な要素となります。
ペンに関してはここまでですが、最初はしっかりとした手の形で握れなくても持って書いて感覚を経験することが大切です。指先の随意性だけでペンなど物の操作が可能になっているわけではありません。
〇箸 2つの先端の感覚を共有する
次に箸の使用についてで、箸で食べ物をつまむ・つかむには2本の箸同士の向きが合っていないと食べ物が落ちてしまいます。
最初の練習としてはある程度の抵抗感があり、なおかつ運動の方向が分かるために粘土などがおすすめです。粘土を箸で掴んだ際に、箸の先端同士が向き合っているか確認しながら向きが合っていれば少しずつ抵抗感に強弱をつけていきます。
また箸の練習では、可能な限り実際の食べ物をつまむ、つかむから食べるまで行ったほうが効果的です。箸は食べる時に使うものなので、実際に「食べる!」という意識の差で手の活動も高まりやすくなります。食べものではない場合には、口元に運ぶという脳の運動機能は働かずに手の動き自体も異なってしまいます。
箸に合わせてスプーンやフォークなどを使うためには、先ほどのペンを使う感覚の練習が役立ちます。スプーン、フォークはそれぞれの先端で硬さを感じ、乗せた重さや刺した硬さがどの程度かという感覚が必要でこれがペン先の抵抗感が分かる、変化することと通じています。
感覚についての記事はこちらでも紹介しています。
→【脳卒中 感覚と意識の関係性】感覚障害
脳卒中や神経疾患等による症状の改善希望やご相談の方は、HPの情報をご参照ください。
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さいごに
今回は利き手での書字や箸を使うための練習ポイントを紹介しました。それぞれ指先や手首、腕全体のコントロールも必要ですが実際の動きを通じて経験する、学習することも重要です。
また自助具などを組み合わせて使うことで、練習の効果も高まります。
引き続き投稿しますのでよろしくお願いいたします。
佐藤