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豆知識

【脳卒中 上肢/肘が曲がる原因とは?】姿勢 筋緊張

脳卒中後の上肢の麻痺では、立ち上がりや歩行などの動作時に肘が曲がってしまう事があります。




動作時以外にも仰向けの姿勢であっても、上肢の力が抜けずに屈曲してしまう場合もあります。




今回の記事では、肘が屈曲している状態や原因を動作中、動作以外に分けながら紹介していきます。




〇肘の屈曲は肘だけではない


まずは肘が屈曲してしまっている状態ですが、多くの方は肘だけが曲がっている事はほとんどありません。




肘の屈曲とともに肩関節の屈曲・伸展や外転、内旋なども含まれています。




これは肘を曲げる筋肉が、肩甲骨から付着していることや姿勢の影響を受けていることで生じます。




特に肩甲骨周囲は姿勢コントロールの一部でもあるので、よりバランスを求められる立ち上がりや歩行などで影響を受けることが増えます。




〇肘が曲がってしまう原因


肘が曲がってしまう原因としては大きく3つに分かれます。


1.姿勢コントロール

2.筋緊張コントロール

3.運動コントロール 
(詳しくはこちらの記事から:過剰連結とは?



1つ目の姿勢コントロールは、動作時である立ち上がりや歩行、起き上がり動作などで特に上半身のバランスを保つために肩甲骨や上肢は活動します。




しかし肩甲骨や上肢での姿勢コントロールが、固定的な戦略になることで上肢を引き込んだり肘を曲げるなどのバランス戦略となります。




固定的なバランス戦略は、手足を曲げ体の中心に近づけることで1点に留め安定性を高める働きです。
(※安定と固定の違いはこちらの記事から



その結果、上肢、肘が曲がりやすくなることに繋がってしまいます。




2つ目の筋緊張コントロールとは、筋肉の張りである緊張を高めたり、下げたりすることで動作や環境に合わせて調整されることが大切です。




しかし、あくびや会話(発声)、寒い空間など全身の筋緊張が高まった際に麻痺側の筋緊張がコントロールしづらい場合に上肢、肘の屈曲が見られやすくなります。




一度、筋緊張が高くなると緊張を下げようと脳、神経が活動しますが、この働きが上手く作用させることが難しい場合に筋緊張が残存してしまうことがあります。




〇リハビリについて


最後にリハビリについて、姿勢コントロールと筋緊張コントロールについて紹介していきます。




姿勢コントロールへのリハビリで重要になるのが、どのような動きの中で、どんなタイミングで上肢が曲がってしまうかという点です。




例えば立ちたがり動作でも体を前方へ傾けた瞬間なのか、椅子からお尻が浮いた際なのかなどを評価していくことが必要です。




そして上肢の緊張が高くない動きと高くなってしまうタイミングへの姿勢コントロールを促す(繋げる)ことが重要です。




姿勢コントロールは、繰り返し反復練習することで改善するものではなく必ず姿勢の連続性を評価、リハビリしていくことが求められます。





次に筋緊張コントロールのリハビリは、筋緊張を下げる調整が難しい場合が多いです。




姿勢を変える際(起き上がりや立ち上がり)や動作時(上肢の活動、歩行等)には、筋緊張が高まることで動作が可能になりますがこの高まった筋緊張を下げるコントロールが神経活動として困難な事があります。




この原因には以下の項目があります。

①運動の終わりが不明瞭

②筋肉からの感覚情報(固有感覚)の低下

③筋肉の収縮が求心性活動で遠心性活動の低下



①運動の終わりが不明瞭とは、動く際には動き方やどこまで動かすのかなどが脳で企画されますが、この中でどこまで動かしたら終わりなのか、もしくは運動を切り替えるのかという情報が不足している状態を指します。


詳しくはこちらの動画で解説しています。



②筋肉からの感覚情報(固有感覚)の低下に関して、固有感覚とは体が動いている感覚や筋肉の活動を感じるような身体内部を感じる感覚の総称です。




筋緊張が一定の高さで固定されてしまうと、力が入っている事や動いていること、自身の姿勢などが不明確になります。




この様な症状がある場合は、筋緊張を下げることが難しいので可能な範囲で関節や姿勢を動かすことが大切です。



歩行後に腕や肘が曲がってしまう際に、非麻痺側の手で伸ばすだけではなく一度、麻痺側上肢に力を入れる(挙上など)ことで麻痺側上肢全体の固有感覚が明確になり筋緊張が下がりやすくなります。





③筋肉の収縮が求心性活動で遠心性活動が低下している状態とは、筋肉は伸び縮みしながら活動していますが求心性活動=縮む方向への活動が強すぎてしまうことを指します。




この求心性活動を遠心性活動に切り替えるためには、求心性活動を緩めるための刺激が必要です。




肘が曲がってしまう症状で肘だけにアプローチしても一過性に筋緊張は下がりますが、姿勢や動きの中での筋緊張はコントロールされづらいままとなります。




上肢全体として評価、リハビリをすることで姿勢を変換する際の肩から指先までの姿勢コントロールや歩行時の腕の位置や振りなどが変化していきます。




指先から上肢の筋緊張を調整する自主リハビリはこちら

上肢の位置や各関節の位置、上肢全体の長さなどの感覚情報が明確になることで、筋緊張のコントロールを促すことができます。


〇おわりに


今回は上肢、肘が曲がってしまう原因について紹介しました。



下肢の内反と同様に局所的な介入に加えて、姿勢や上肢全体など他の身体部位からの影響も考えていくことが必要です。



最後までお読みいただきありがとうございました。


佐藤